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いぼ

童話集 ごんぎつね|最後の胡弓ひき ほか十四編

新美 南吉

線上閱讀新美 南吉《童話集 ごんぎつね|最後の胡弓ひき ほか十四編(いぼ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,278 字 · 30 頁

青空文庫

農揚げといって、この秋のとり入れと、お米ごしらえがすっかり終わったお祝いに、どこの百姓家でもそうするのです。

松吉と杉作が、土曜の午後に、学校から帰ってくると、そのお餅を、町の克巳の家にくばっていくことになりました。これはもうきのう、お餅をつくっているときから、ふたりがおかあさんにたのんで、かたく約束しておいたことです。

なぜなら、このことには、ふたつのよいことがありました。ひとつは、夏休みになかよしになったいとこの克巳に会えるということ、もうひとつは、あまりはっきりいいたくないのですが、おだちんをもらえることです。そしてまた、町のおじさんおばさんは、いなかの人のように、お銭のことではケチケチしません。いつも五十銭ぐらい、おだちんをくれたのです。

おかあさんが、お餅のはいった重箱を、風呂敷につつんでいるとき、松吉は、

「ねえ、おっかさん、電車に乗ってっても、ええかん。」

と鼻にかかる声で、ねだりました。

「なんや? 電車や? あんな近いとこまで、歩いていけんようなもんなら、もうたのまんで、やめておいてくよや。おとっつぁんに自転車でひと走りいってきてもらや、すむことだで。